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2008.02.01

エリオSS「貴腐人の功罪」

SS仕様書
話数:短編・1話完結
メインキャラ:ユーノ エリオ
カラー:ノーマル トーン:コメディ系
カップリング:ユーノxなのは エリオxキャロ
備考:軽くBLネタ有り。シャマルさんは腐女子ですよね?

作 者「今回はキャロもちゃんと出番有ります」
はやて「前回は詐欺みたいな事したもんなぁ。で? わたしの出番は?」
作 者「ありますよ。ご心配なく」

.

エリオSS「貴腐人の功罪」



 最近、視線を感じる。
 無限書庫で仕事をしていると新人の司書達がこちらを見ながらひそひそと話しているし、古参の司書達はニヤニヤ笑っている。
 局の食堂に行こうものなら、殆ど全員がこちらを見ているんじゃないかという時すら有る。
(あぁ、またか……)
 これはもう慣れ親しんだ、と言ってもいい空気だ。
「司書長、ご愁傷様です」
 声を掛けてきたのは最古参の司書の一人。彼女の手にはB5版の冊子が抱えられている。
「やっぱり新刊が出たんだ……」
 もう、溜息しか出ない。六課の設立で忙しかったせいか、ここ最近新刊が出なかったのに……。
「えぇ。久しぶりだからかしら、今回はかなり気合いが入ってますよ」
 そう言うと、彼女は冊子の厚さを示す。なるほど、普段の倍はあるな。
「で? 今度は僕は誰と恋に落ちるんです?」
「エリオ君ですね。最初ハラオウン提督と司書長が両思いで、お兄さんを取られたくないエリオ君が辛く当たるんですけど、段々司書長の優しさに参っちゃ
って、それで司書長のことが好きになっちゃうんだけど、そうすると今度は提督が黙ってなくて……ていうカンジです」
 毎度の事ながら、頭を抱えたくなる内容だ。あの人の妄想力は想像を超えているなぁ……。
「………で、やっぱりそれも蔵書に加えるんですか?」
「もちろんですよ?」
 いや、まぁ、困ったことに。この手の本も無限書庫は収集対象にしている。
 管理世界における様々な書物や、そこに記された知識を無限に収集することが無限書庫の役割だ。そして、こういった個人出版の本はその時代や地域の文
化・風俗を知るための貴重な資料になる場合がある。
 でも、そうは言うものの……
「BL系がここまで充実してるのは、公共データベースとしてはどうなのかなぁ……?」
 そろそろ、棚の一角がコレ系で埋まりそうなんですが。しかも一人の作者が書いた本だけで…………。

     *     *     *     *     *     *     *     *

 それから数日後。
 六課の隊舎で、フリードが暴走したらしい。
 暴走の原因は、はやての権限で機密事項に指定されたらしく、なのはも知らないそうだ。
「一体何があったのかなぁ。相談してくれたら、力になってあげられるかも知れないのに」
 本当にキャロのことが心配なのだろう。僕もなのはのこんな顔は、見たくないんだけど…………。
「多分、なのはでもどうしようもないと思うよ……」
「えっ!? ユーノ君、何か知ってるの!?」
 う~ん。話すべきかどうか………。
 まぁ、悪いのはシャマルさんだし、なのはにこんな顔させたままってのもイヤだし、ね。
「多分原因はシャマルさんだよ。新刊出したから」
「新刊?」
「うん。僕とクロノと……エリオの三角関係ネタ」
「……………それは、確かにどうしようもないかも」
「でしょ?」
 スターライトブレイカーやエターナルコフィン、はては紫電一閃まで使っても止められなかったシャマルさんの病気。キャロには悪いけど、今更フリード
のブレスぐらいではどうにもならないだろう。
「はぁ。それにしても、ホント ユーノ君はネタにされやすいよねぇ」
「まぁ、女顔なのは自覚してるけど……」
「ねぇ、本当にクロノ君達とそんな風になったこと、無い?」
 いや、いきなり何を言い出すんだよ。
「僕はずっと、なのは一筋なんですけど?」
「ん~、火のないところに煙は立たないって言うよね?」
「だから?」
「証拠を見せて欲しいなぁ。私だけって言う証拠」
 そう言いながら、なのはの顔がどんどん近づいてくる。
「もう充分示せたと思うんだけど……」
「だ~め。まだ足りません」
 しょうがないなぁ。と思いつつ、自分でもにやけてるのが分かったり。
 口づけを交わしながら、僕たちはまたベッドに倒れ込んだ。

     *     *     *     *     *     *     *     *

 そのころ機動六課では----
「なぁエリオ、キャロのこと好きか? 家族とか仲間やのうて、1人の男の子として」
「えぇっ!? い、いきなりなにを……」
 2人きりの部隊長室。
「ホンマはな、こういう事に部隊長が口を出すんはお門違いなんやけど、キャロの今後に関係のあることやねん」
 狼狽するエリオ。だが、はやては真剣な表情のまま言葉を続ける。
「今回のフリードの暴走は、キャロの精神状態がとてつもなく不安定になったからなんや。で、その原因がエリオなんよ」
「…………それって、つまり僕のせいでフリードは暴走したんですか?」
「うん。言いづらいねんけどな……。一番悪いのはきっかけを作ったシャマルや。けど、それはあくまで切っ掛け。原因はエリオやねん」
 はやての表情は真剣そのものだ。冗談好きの上司だが、こんな冗談を言うとは思えない。
 とはいえ、秘めた思いを人に打ち明けるというのは思春期の入り口に立ったばかりの少年には、つらすぎる。
「あの、どうしても、言わないとダメですか……?」
「ん~、気持ちは判るんやケドな。さっきも言うた通り、キャロの今後に関係してくるんよ」
「はぁ」
「フリードがいつ暴走するか判らへんとなると、前線メンバーも危険やろ。もちろんキャロ自身も危ない。
そうすると、前線メンバーとしてウチに置いておけへんようになってしまうんや」
 それはつまり………
「キャロが六課に居られなくなるってことですか!?」
 沈痛な表情で頷くはやて。
「また『レアスキル持ち』狙いの部隊が、勝手に期待して呼びつけて、勝手に幻滅して放り出す、たらい回しの日々に逆戻りや」
「そんなッ!! 何とかならないんですか!?」
「方法はある。ようはキャロの精神が安定しとったらええんや。で、そのためにエリオにはキャロを精神的にも支えて欲しいんや。
 でもな、口で言うだけやったら簡単やけど実際にやるんはホンマに難しいんや。義務で気を使われても辛いだけやし、余計に不安定になるかもしれへん。
そこで、最初の質問に戻るんや。エリオはキャロのこと好きか?」
 熟したトマトよりも真っ赤になりながら、蚊の鳴くような声で答える。
「え……と、………その…………好きです………」
 ニヤリ、とはやての顔に悪代官の笑みが浮かぶ。
「ん~~? 良く聞こえへんなぁ~」
「うぅ……す、好きです……」
「ほら、男の子やろ! もっとお腹から声出して!」
「好きです!」
「ん~、もういちょ!」
「好きです!!!」
「同情で言うてもあかんよ? ホンマに好きか? お嫁さんにしたいくらい?」
「本当に好きです! また、デートだってしたいし、お嫁さんになって欲しいです!!! ……ってお嫁さん!?」
「あはははははは!!! 引っ掛かったぁ~!!」
「ちょ、はやてさん!!」
「もぅ、ええよ。出ておいで」
 エリオの抗議はスルーして、はやてはソファーの方に声を掛ける。
「くきゅる~」
 その鳴き声を聞いて、エリオは真っ赤な顔をしたまま凍り付く。
(う、うそ………………)
 ギギギ と錆び付いた音がしそうな動きでソファーの方を向くと、そこにはエリオと同じように真っ赤な顔をしたキャロが立っていた。
「きゅく~~!」
 フリードが嬉しそうな声を上げて、エリオの肩に留まり頬をすり寄せてくる。
「な、何で?………先刻は誰も居なかったのに?」
 その呟きに答えるように、通信ウィンドウがひらく。そこには映っていたのは………
『アタシの得意技、知ってるでしょ?』
『きゃろ~、良かったねぇ~!』
『は~。私も言われてみたいわね~』
 得意満面っといった表情のティアナ。笑顔全開でキャロを祝福するスバル。夢見る乙女モードのギンガ。
 後ろにはフェイトやシグナム。ヴィータやヴァイス達まで映っていた。
「はやてさん。これってまさか………」
「うん! みんな見てたよ」
 それはもう大変に「イイ」笑顔で。
(いや、祝福してくれるのは嬉しいけど、流石にこれはないんじゃないでしょうか?)
 呆然としつつ、意識のどこかがそんなことを考える。
「あの、エリオ君……」
「キャロ………」
「えと、あの……その……。えと……あの……ふ、ふつつかものですが、よろしくお願いします!!」
 言い終えると、勢いよくお辞儀するキャロ。
「あ、えと、その……こ、こちらこそよろしくお願いします!」
 こちらもお辞儀するエリオ。
「ん~? なんやなんや、せっかく愛の告白したんやから、チューくらいせんとアカンで」
「ええッ!?」
「チューって!」
『おー、やれやれぇ~』
『は、はやて!! ダメだよ! 2人にはまだ早いよ!!!』
『フェイトまま~。ヴィヴィオもチューする~』
『ヴィヴィオっ!?』
 モニターの向こうでは、どんどん騒ぎが大きくなっているようだ。
 誰が持ち込んだのか、酒瓶らしい物まで飛び交っている。
「さてと、ほな私達も混ざりにいこか。お祭り騒ぎも主役が居らんとな」
「「はい」」




●ブログ版後書き
 お読み頂き有り難うございます。
 今回は、エリオの告白をネタにしてみました。
 このSSはオトコノコ祭り用に書いたモノなんですが、祭りの期間も終わったし年も変わったからそろそろこちらに上げても良いかなと思いまして。
 第1弾のエリオ&ストラーダは空気を読まず、コンさんの所に送ったその日の内にブログにもアップしていたので今回は空気を読んでみました。
 読んだつもりで、読めて無さそうな気もしますが……(^_^;)
 ともあれ、お楽しみ頂ければ幸いです。

◆ブログ版変更点
 三点リーダーを「・・・」から「……」に変更。
 台詞のいくつかを修正

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